【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



改札を出て重い足取りで歩いているとマンションの前に課長の姿が見えた。


「やばっ。帰れない」


慌てて身を隠すのは今日は2回目。


気づかれないよう駅までの道のりを引き返し始めた。



何でいるのよ。

家に帰れないじゃない。


行くとこもないのにどうしたらいいのよ。



みやちに相談しようとバッグからスマホを取り出し落としていた電源を入れた。


画面に並ぶのはkennyからの数え切れない着信履歴。


課長から連絡があったんだと想像がつく。


Kennyのメールすら開封する気になれない。



アドレス帳からみやちの名前を出し


コールするとすぐに出た。


「どうした」


「課長がマンションの前にいたから帰れない」


「話し合えばいいだろ」


みやちの言うことはもっともだ。


もっともだけれど、今は逃げたいっていうか考えたくない。


「無理なの」


力なく答えた私の気持ちをみやちは理解してくれた。





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