委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 真琴はボソッと呟いた。聞こえるか聞こえないか、ぎりぎりの小さな声で。


「頭のほかも怪我したのか?」

「う、うん。でも、そっちは後で話す」

「そっか」


 俺は頭の他にもどこかを怪我したらしいが、今はどこも何ともないわけだし、それについては全く気にならなかった。


「お兄ちゃんは病院で治療を受けたんだけど、意識が戻るまで二日かかった。そして、意識が戻ってもボーッとしてて、わたし達が話し掛けても殆ど反応がなかった。まだ意識が朦朧としてるんだろうなと思ったら、そうじゃなかった。記憶障害が起きてるんだって、お医者さんに言われた。
 その後色々と検査してもらってわかったの。お兄ちゃんは、人に関する記憶を失くしてるって。それと、高校受験の頃から、つまり最近の3年ぐらいの記憶も失くしてるって……」


「ちょっと待てよ。人の記憶は確かになくしたかもだが、最近の記憶がないっていうのは嘘だろ。俺は憶えてるぞ。西高に入って、その後今の中央に編入した事を……」


 俺はそう反論したのだが、真琴は「違うの」と言い、神妙な顔つきで首を横に振った。

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