委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「それはね、嘘の記憶なの」

「嘘の、って……」

「お母さんが、得意の催眠術を使ってでっち上げた、嘘の記憶なのよ」

「そんな、バカな……」

「例えば、高校受験の時の事、思い出せる?」

「そんなの……」


 “あたりまえだろ?”と言おうとして、俺は言葉に詰まってしまった。模擬テストやら何やら、どこかに出向いて試験を受けた記憶ならチラホラあるのだが、西高へ行って受験した記憶がない。


「そもそも、お兄ちゃんの成績で西高なわけないでしょ?」

「あっ……」


 言われてみれば確かにそうだ。自慢じゃないが、俺は中学の時はいつも学年の首席だった。業者テストの偏差値は、常に西高どころか東高のそれをも上回っていた。だから当然の事として、俺は東高へ進むつもりでいたんだ。


「本当はね、お兄ちゃんは東高に行ってたんだよ」


 真琴は神妙な顔で言ったが、その事自体に俺は大して驚かなかった。それよりも、疑問の方が遥かに大きかった。それは……


「どうして、おふくろはそんな嘘をついたんだよ?」


 という事だった。

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