委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 真琴さんが言うには、相原君の意識がいつ戻るのか、それ以前に本当に戻るのかどうかさえ、お医者さんでもわからないらしい。つまり、一生このままという可能性もあるのだという。


「わたし、着替えとかを取りに戻らないといけないんです」

 泣きそうになっていると真琴さんがそう言ったので、

「よかったら私が行きましょうか?」

と、すかさず私は申し出た。何かの役に立ちたいのと、ここにいても辛いだけだから。それに、真琴さんと相原君のつながりはわからないけれど、他人の家に入るという意味では、彼女でも私でもさほど変わらないだろうと思ったから。

 そう言えば、相原君のお母さんは今日もお仕事に行ってるんだろうか……


「ううん、大丈夫です。それより、玲奈さんには彼の側にいてほしいので……」

「でも……」

「マンションじゃないんです」

「え?」

「彼、今は私の家にいるんです。だから……」

「……わかりました」


 そういう事なら、もちろん私は引き下がらざるをえない。でも、どうして相原君はあのマンションを出たんだろう。それと、相原君と真琴さんって、どんな関係なんだろう。まさか、恋人同士って事は……ないよね?


「あ、そうだ。玲奈さん……」


 病室を出かかった真琴さんが、何かを思い出したらしく私を振り向いた。


「は、はい」

「時々でいいから、彼の耳元で声を掛けてあげてください。“相原君”じゃなくて、“悠斗さん”もしくは“悠斗”って……」

「あ、はい」

「お願いします」

「でも、どうして……」


 “相原君”じゃダメなのかを聞こうとしたのだけど、真琴さんはペコッと私にお辞儀をすると、さっさと出て行ってしまった。

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