委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
冷房のため窓は閉め切られているようで、真琴さんがいなくなった途端、病室は静寂に包まれた。相原君の腕につながった点滴の液が、ポタリと滴る音さえ聞こえそうなほどに。
相原君の顔を見つめながら、ベッドの脇の、たぶん真琴さんが座っていたと思う丸イスに、私はそっと腰を下ろした。そして、彼の顔に自分の顔を寄せ、「相原君……」と声を掛けてみたけど、相原君は何の反応もしてくれなかった。閉じた瞼はピクリともせず、規則正しい呼吸の音がするだけだった。
彼の手に触れてもみた。男の子のそれらしく、大きくて骨ばっていて、でも温かい手。ほんの数日前には、その指先で私のお腹を撫でたやんちゃな手が、今はまったく動く気配すらない。
ふと真琴さんの言葉を思い出した。つまり、“悠斗さん”もしくは“悠斗”と声を掛けてほしいと言われた事を。
それに何の意味があるのか、私にはさっぱり理解出来ない。だって、私は相原君の事を一度も名前で呼んだ事がないのだから。あ、一度だけあったかもしれない。彼の部屋で、私が錯覚に陥った時に。でも、それはあの時だけなわけで……
どうして真琴さんはあんな事を言ったのか、今ひとつ納得は出来ないのだけど、約束したのだからそうしようと思う。私は相原君の耳元に口を寄せ、「ゆ……」と言い掛けたのだけど……
やっぱり恥ずかしい。他には誰もいなし、相原君にも聞こえないと思うのだけど。それに、彼を“悠斗”と呼ぶのは抵抗がある。だって、私の中での悠斗は、田村悠斗だけだから……
という事で躊躇してしまったのだけど、そんな場合じゃないと思う。だって、私は相原君に目覚めてほしいのだから。何がなんでも。
「ゆ、悠斗、起きて? お願いだから。私……あなたが好きなの。はっきりしなかったけど、やっとわかったの。私は、相原君が好きなんだって……」
私は、気付いたばかりの本当の気持ちを相原君に告げ、彼のお腹の上に顔を突っ伏して泣いてしまった。それは、もちろん相原君が可哀想なのもあるけど、自分自身が哀れだからだ。一年前には恋人である悠斗に捨てられ、次に好きになった相原君は、こんな事になってしまうなんて……
「……だ……れ……?」
相原君の顔を見つめながら、ベッドの脇の、たぶん真琴さんが座っていたと思う丸イスに、私はそっと腰を下ろした。そして、彼の顔に自分の顔を寄せ、「相原君……」と声を掛けてみたけど、相原君は何の反応もしてくれなかった。閉じた瞼はピクリともせず、規則正しい呼吸の音がするだけだった。
彼の手に触れてもみた。男の子のそれらしく、大きくて骨ばっていて、でも温かい手。ほんの数日前には、その指先で私のお腹を撫でたやんちゃな手が、今はまったく動く気配すらない。
ふと真琴さんの言葉を思い出した。つまり、“悠斗さん”もしくは“悠斗”と声を掛けてほしいと言われた事を。
それに何の意味があるのか、私にはさっぱり理解出来ない。だって、私は相原君の事を一度も名前で呼んだ事がないのだから。あ、一度だけあったかもしれない。彼の部屋で、私が錯覚に陥った時に。でも、それはあの時だけなわけで……
どうして真琴さんはあんな事を言ったのか、今ひとつ納得は出来ないのだけど、約束したのだからそうしようと思う。私は相原君の耳元に口を寄せ、「ゆ……」と言い掛けたのだけど……
やっぱり恥ずかしい。他には誰もいなし、相原君にも聞こえないと思うのだけど。それに、彼を“悠斗”と呼ぶのは抵抗がある。だって、私の中での悠斗は、田村悠斗だけだから……
という事で躊躇してしまったのだけど、そんな場合じゃないと思う。だって、私は相原君に目覚めてほしいのだから。何がなんでも。
「ゆ、悠斗、起きて? お願いだから。私……あなたが好きなの。はっきりしなかったけど、やっとわかったの。私は、相原君が好きなんだって……」
私は、気付いたばかりの本当の気持ちを相原君に告げ、彼のお腹の上に顔を突っ伏して泣いてしまった。それは、もちろん相原君が可哀想なのもあるけど、自分自身が哀れだからだ。一年前には恋人である悠斗に捨てられ、次に好きになった相原君は、こんな事になってしまうなんて……
「……だ……れ……?」