委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 看護士さんが来て、次に主治医の先生が来て、診察中のため私は病室の外で待たされていると、真琴さんが戻って来た。たぶん相原君の着替えなんかが入った、大きな手提げ袋を手に提げて。


「あれ? どうしたんですか?」

「先生が来て、今診察中なんです」

「ああ、そうなんですか……」

「真琴さん。相原君……意識が戻りました」

「……えっ? ほんとに!?」

「はい」

「きゃっ。よかった!」


 真琴さんはそう叫び、私に抱き着いた。


「よかったね! 玲奈さん」

「はい。でも……」

「どうしたんですか?」


 真琴さんは、彼女のようには喜べないでいる私を、怪訝な顔で見つめた。私は、その理由を言わなければいけない。とても辛いのだけど……


「彼、意識は戻ったんですけど、記憶が……」

「記憶?」

「自分が相原悠斗だって事、憶えていないんです」

「……嘘でしょ?」

「不思議な事に、私の事は憶えてくれてました。だからたぶん、真琴さんの事もわかると思います。自分の事だけ憶えてないなんて、そんなの、あるんでしょうか……」


 私は相原君が可哀想でまた涙が出て来たのだけど、真琴さんは冷静な顔で、何かを考えているようだった。


「それって、もしかして……」

「え?」


 真琴さんが何かを言い掛けた時、病室の扉が横に開き、白衣を着た男の先生が出て来た。そして私と真琴さんを交互に見て、


「田村真琴さんは、どちらですか?」


と言った。

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