委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「驚いたでしょ?」

「はい……」


 正直、驚いたなんてものじゃない。まるで夢か、映画やドラマを観ているようで、とても現実の事とは思えなかった。


「まだ続きがあるんだ……」

 え? まだあるの?

「さっきお医者さんから聞いたんだけど、お兄ちゃん、今度の事故で記憶が戻ったんだって」

 ああ…… その事なら私も解ったわ。彼、すっかり悠斗になってたから。

「その代りにね、記憶を失くしてた期間の記憶がないらしいの」

「えっ?」

「つまり、自分が相原悠斗だった事を、憶えてないんだって」


 あ。だから“相原って誰だよ?”って言ったんだ。私が眼鏡を掛けているのも不思議がってた。でも……


「そんな事ってあるんですか?」

「それがね、あるんだって。むしろそれが自然かもしれないって、お医者さんは言ってた。本来の道を外れて歩きだして、その後それに気付いて元の道に戻った時、逸れた道の事は忘れる、みたいな事だろうって……」

「そうなんですか……」


 悠斗が戻ったのは嬉しいけど、相原君の存在が消えたみたいで、私は複雑な思いだった。

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