委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 私と悠斗は病院の中庭に出て、ベンチに並んで腰掛けている。真琴さんはたぶん私たちに気を遣ってくれたのだと思うけど、少し前に帰って行った。


「もう、夏も終わりだなあ」


 太陽は西の空に沈みかけ、暑さはかなり治まり、わずかながら風が涼しく感じられる。季節は確実に秋へ向かっていた。

 隣に座る悠斗は、下を向いたまま「ああ、そうみたいだな」なんて言っている。


「悠斗、なんでずっと下を向いてるの?」

「あ? あんま見られたくないからさ」

「見られたくないって、何を?」

「顔に決まってんだろ。こんな、変な顔……」


 そうか、まだ悠斗は今の顔を受け入れられないんだ。無理もないけど……


「変な顔じゃないよ?」

「そうかあ?」

「うん、むしろイケメン? 悠斗もだんだん慣れるよ」

「よく言うよ。他人事だと思って……」


 とか言いながらも、悠斗は苦笑いした顔を上げてくれた。


「不思議な感じだよ。これから夏休みのはずだったのに、もう終わりだし、一つ年食ってるんだもんなあ」


 そうだよね。悠斗にとっての“今日”は、1年前の夏休み直前なんだもんね。


「あ、そうだ。おまえ、浮気しなかったか?」

「……はあ?」


 悠斗は突然、変な事を言った。

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