LOVE or DIE *恋愛短編集*
「嘘だろ、本当にいた」
――突如かかった声に、そう驚きはしなかった。
もしかしたら。
彼は現れる、かもしれないと。
そう思って、わざと彼が気付きそうなタイミングを狙ってTwitterに呟いたのだ。
『思い出の地のひとつ、佐多岬へ。親友の欠片の一部を散骨してきます』
「……中塚弘樹」
「うわ。なんでフルネーム?」
「付き合い良いのね、たった一度旅先で一緒になっただけなのに」
「まあ確かに。俺あんたの名前も知らないのにね。でも真希ちゃんとは、結構しゃべったし」
「私は……結構あなたのこと、知ってる気がする」
「だから、なんでだよ」
不快そうではなかった。
楽しい目的の旅じゃないのに楽しそうなのは、きっと旅先のテンションだからだ。
並んで、展望台を見上げる。
遠目になんだか雰囲気が怪しいと感じていたのは、展望デッキをぐるりと覆っていたガラスが全部割れているからだった。
「なんか寂れたな、佐多岬」
「同感。あの頃はすごくキラキラしてたのに」
「あの頃? いつ来たの?」
「――同じ日よ、あなたがここへ来たのと」
中塚弘樹の目が、落っこちそうなくらい開いた。
――突如かかった声に、そう驚きはしなかった。
もしかしたら。
彼は現れる、かもしれないと。
そう思って、わざと彼が気付きそうなタイミングを狙ってTwitterに呟いたのだ。
『思い出の地のひとつ、佐多岬へ。親友の欠片の一部を散骨してきます』
「……中塚弘樹」
「うわ。なんでフルネーム?」
「付き合い良いのね、たった一度旅先で一緒になっただけなのに」
「まあ確かに。俺あんたの名前も知らないのにね。でも真希ちゃんとは、結構しゃべったし」
「私は……結構あなたのこと、知ってる気がする」
「だから、なんでだよ」
不快そうではなかった。
楽しい目的の旅じゃないのに楽しそうなのは、きっと旅先のテンションだからだ。
並んで、展望台を見上げる。
遠目になんだか雰囲気が怪しいと感じていたのは、展望デッキをぐるりと覆っていたガラスが全部割れているからだった。
「なんか寂れたな、佐多岬」
「同感。あの頃はすごくキラキラしてたのに」
「あの頃? いつ来たの?」
「――同じ日よ、あなたがここへ来たのと」
中塚弘樹の目が、落っこちそうなくらい開いた。