Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
本宅を出て、離れにあるホールに向かって芝生の上を歩く。



ホールのある建物は洋館で、室内からは眩い光と零れ、オーケストラの優美な旋律が聞えて来る。


私は未だ、踏み込んだコトのないセレブの世界に足を止めてしまった。



「どうした?」


「今更だけど…緊張して来た…」


「早く行かないと皆が待っている」



「でも…」


「その前にキスしようか?」


怜は私の顎に指で持ち上げて、唇を近づける。


「ダメよ…」


私は怜の口許を手で塞いで、キスを拒んだ。


「ふっ」


怜は私の顎から指を離して軽く鼻で笑う。



「緊張は解れたようだ。行くぞ」


怜は私の気を逸らそうとワザとキスしようとした?


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