Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

瀬川は私を優しく抱き締める。


私は好きな人に唐突な告白を受けて、夢と現を混同させて唯、瀬川に抱き締められた。



「紗耶香お嬢様は今でも俺がスキですか？」


瀬川は抱擁を緩めて、私の瞳を一途に黒い瞳で不安げに見つめる。


こんなにも切なそうな表情を見せる瀬川は初めて目にした。



優しく穏やかに笑う彼しか記憶にない。



私は視線を泳がせて、瀬川の目から視線を外す。




「やはり、お嫌いですか？」



「…嫌いじゃない。スキよ。今でも大スキ！！」


瀬川の顔を私の顔に近づく。柔らかくマシュマロのような感触が唇に塞ぐ。

私は瀬川とキスを交わした。

瀬川の手は私の後頭部に回って、次第に唇を強く押し付けて食むように何度も角度を変えて、貪るような激しいキスへと変化する。