嫌われ者に恋をしました

「弟さんがいるなんて羨ましいです。楽しそうで」

「そうでもないよ、あいつ自分勝手だし。迷惑なことばっかりだよ」

 そう言って、昨日夜遅くにふらりと家に来た悠人の顔が浮かんだ瞬間、隼人はまずい事態を思い出してハッと目を見開いた。ヤバイな。

 悠人のヤツ、「もう見ないから」とか言ってDVDを置いていったな。……エロいヤツ。

 なんであいつ、「教師設定」が好きなんだろう。「だって先生だよ?たまんないでしょ~」なんて、あのド変態め。でも、まあくれるんならって貰った俺も俺だ。まだ見てもいないのに「課長ってこんなの見るんですか?」なんて目を細めて言われたら最悪の事態……。どうするか。

 あんなものを隠すのに10秒もかからない。でも、雪菜を部屋の中に入れてしまったら隠す作業は非常に困難を極める。

 ……やっぱり、少し片付けるからって玄関で待っていてもらうのが無難だろうな。なんらか疑われたとしても、具体的な目撃をされるよりはマシだ。

 隼人は表情を変えずに真っ直ぐ前を見たままハンドルを握って、家に着いてからの段取りをつけていた。
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