嫌われ者に恋をしました
雪菜が移りゆく景色を見ながら、目を輝かせて「わあ!」とか「綺麗」とか言うと、隼人はとても満足そうにしていた。
車窓を流れていく工場の夜景は、本当に綺麗だった。雪菜にとっては初めて見る景色。ライトに照らし出された工場は妙に鮮明に見えて、とても不思議な光景だった。夜の工場が綺麗だなんて考えたこともなかった。
どうして課長は、私がドライブを好きだなんて思ったんだろう。監査に行く時、窓の外を見ていたからだろうか。
課長が連れて来てくれたドライブ。初めてのドライブ。課長の車の助手席に乗って、真夜中にこんな景色を見ているなんて不思議な気分。道路を照らす整然と並んだオレンジ色のライトが、いつもと違う高揚感を誘う。
なんだかとても楽しい。初めてだから、だけではなく、きっとそれは課長と一緒だからだと思う。課長が連れて来てくれたと思うと、それだけで嬉しくて、横顔を見るだけでドキドキする。こんな風にドライブをするなんて、本当に夢のよう。
さっきは、二人でいろんな所に行こう、なんて言われて、嬉しすぎて胸がキュッと締め付けられて、涙が出そうになった。