嫌われ者に恋をしました
雪菜の家に着くと、鍵屋が約束通り昼前にやって来て、シャキシャキ仕事をしてあっという間に作業を終わらせると帰って行った。
鍵が替わって、安心材料は一つ増えたと言える。でも、鍵を替えたところで、この家の玄関の扉は薄っぺらくて、思いっきり蹴ったら壊れてしまいそうな代物だ。瀬川の尋常じゃない行動を思うと、隼人はやっぱり心配だった。
入れてもらった紅茶を見つめて考え込んでいたら、雪菜が隣に座って話しかけてきた。
「あの」
「?」
雪菜は心なしかもじもじしている。
「その……、鍵を二つ貰ったので、……一つはお渡ししておきます」
そう言ってそっと鍵を差し出してきた。
さっき俺が鍵を渡したからだろうか?それとも、俺が雪菜を大事に思うように、雪菜も俺を大事に思っているんだろうか。それとも、……瀬川にもこんな風に合鍵を渡したんだろうか。
「ん、わかった。ありがとう」
隼人はうなずくと、鍵を差し出してきた手を腕ごと掴んで引き寄せた。
「っ!……どうしたんですか?」
「抱き締めたくなったから」
隼人は引き寄せた雪菜を抱き締めると耳元に唇を寄せた。
「俺は雪菜を大事にする。約束するよ」
隼人がそう囁くと、雪菜は少し身じろいだ。隼人は抱き締めていた手を少し緩めて、雪菜を覗き込むとそのまま軽くキスをした。