嫌われ者に恋をしました
「ごちそうさま。ふう、あっつい!」
食べ終えた隼人がそう言って床に手をつくと、雪菜はうちわを出して隼人を扇ぎ始めた。
「夏だし、冷製のパスタにすれば良かったですね」
「いや、ホントにすごくおいしかったよ。ありがとう」
そう言う隼人を雪菜は微笑みながらゆっくりとした仕草で扇いでいたが、隼人は人に扇がれているなんてなんだか居心地が悪く感じた。
「そのうちわ貸して。自分で扇ぐからいいよ」
隼人がそう言うと、雪菜は不思議そうな顔をしてうちわを隼人に渡した。
なんだろう、今の表情。すごく嫌な感じがする。まさかとは思うけど、瀬川のヤツ、こうやって雪菜に扇がせてたんじゃないのか。
つい瀬川のことを考えてしまう自分に苛立ちながら、隼人はバッサバッサと勢いよく自分を扇いだ。
「そろそろお店、忙しくない時間でしょうか?」
食器を片づけながら雪菜が言った。時計を見ると1時半になっていた。
「そうだな、もうそろそろ落ち着いたかもな。行ってみる?」
「はい」