嫌われ者に恋をしました

「俺が飲んでほしいって言ったら、嫌でも飲んだわけ?」

 雪菜は少し間をおいてからうなずいた。

「ダメだよ、そんなの!雪菜は嫌なんだろ?傷つくんだろ?雪菜を傷つけたら俺が傷つくって言ったの、忘れた?」

「……忘れてません」

「嫌なことは嫌って言わないとダメだよ!まして、嫌なことを自分からしようとするなんて、ありえない」

「怒ってる?」

 雪菜はぽろぽろと涙をこぼした。

「怒ってるよ」

「……ごめんなさい」

 雪菜は喉を詰まらせたように泣きだした。

「雪菜!……雪菜っ!」

 隼人は雪菜の肩を掴んで揺すった。

「雪菜が自分のことを傷つけるようなことをしたから怒ったんだよ。俺には嫌なことは嫌って正直に言ってほしいんだ!」

 まだ涙を流したまま、雪菜はうなずいた。

「愛してるんだよ、雪菜の全部」

 雪菜は何も言わずじっと隼人を見つめた。

「雪菜が嫌なことを嫌って言っても、俺の気持ちは変わらないよ。だから、本当の雪菜を全部見せてほしいんだ」

 雪菜はうなずくと隼人に抱きついた。隼人も雪菜を抱き締めた。雪菜はしばらく泣き止まなかった。
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