嫌われ者に恋をしました
もうすぐ家だよ、と言うと雪菜はわかりやすいくらい固まってしまった。
「どうしても緊張するんだ?」
「はい。心臓が口から出てきそうです」
「そんなに!本当にそんな緊張しなくていいから!きっとすごい拍子抜けするよ」
「でも……」
「大丈夫だよ、俺が一緒にいるから」
「……はい」
これ以上言っても雪菜の緊張がとけることはないだろう。実際に会って、拍子抜けするのが一番かもしれない、と隼人は思った。
マンションの近くのコインパーキングに車を停めて実家に向かった。
「そ、そう言えば!何も手土産を持ってきませんでした!」
「いいよ、実家に手土産なんて」
「で、でも……」
「大丈夫だよ、雪菜」
手を握ると、雪菜は強く握り返してきた。相当緊張してるな、これは。手を繋いで歩く間もエレベーターに乗っている間も、雪菜は一言も言葉を発しなかった。
実家の玄関前まで来て、インターホンを押すと、雪菜は手を離して隼人の後ろにささっと隠れた。何度も深呼吸をしているようだ。
ドドドッと足音がして、隼人の母親がインターホンにも出ずに勢いよく扉を開けた。その後を追うように悠人も来て顔を覗かせた。