嫌われ者に恋をしました

「こんな捨てられるような子を拾ってくれて、本当にありがとうねぇ」

「エッ?そんな……」

 母親からオーバーアクションでそんなことを言われて、雪菜はおろおろしていた。

「だから、その話はもうやめてくれよ」

「いいじゃない!アンタ、からかい甲斐があるんだもん!」

「本当に母親の台詞かよ」

 隼人が舌打ちをすると、隙を見て悠人が雪菜に接近してきた。

「雪菜ちゃん、かわいいね~」

「そ、そんなことは……」

「お前、馴れ馴れしく呼ぶな」

「いいじゃん、ね~?雪菜ちゃん」

「は、はい……」

「あ、そうだ」

 隼人は悠人に渡すライターを持ってきたことを思い出した。

「これ、やるよ。ライター」

 ライターを詰め込んだ缶を渡すと、悠人はわざとらしく重そうに受け取った。

「何これ、エロビデオのお礼?」

「なっ!お前っ!……ちょっと来い」

 コイツ!わざとそんなこと!

「冗談だよ~。雪菜ちゃん、この人そんな物とは無縁の人だから、安心してね」

「アンタたち、まだエロビデオの貸し借りなんてしてるの?そんなの学生の間だけかと思ってたわ」

「貸し借りじゃないよ、あげたの」

「……もう、やめてくれ」

 母親と悠人の息の合った会話に、ペースにかき乱される。ため息をついて雪菜をチラッと見ると、話題を理解するのに精一杯な様子で、キョトキョトと二人の顔を交互に見ていた。

「兄貴、煙草やめたの?」

「ああ?まあね」

「もしかして、雪菜ちゃんのため~?」

 悠人がそう聞くと、悠人と母親はニヤニヤと隼人を見た。
< 262 / 409 >

この作品をシェア

pagetop