嫌われ者に恋をしました
「こんな捨てられるような子を拾ってくれて、本当にありがとうねぇ」
「エッ?そんな……」
母親からオーバーアクションでそんなことを言われて、雪菜はおろおろしていた。
「だから、その話はもうやめてくれよ」
「いいじゃない!アンタ、からかい甲斐があるんだもん!」
「本当に母親の台詞かよ」
隼人が舌打ちをすると、隙を見て悠人が雪菜に接近してきた。
「雪菜ちゃん、かわいいね~」
「そ、そんなことは……」
「お前、馴れ馴れしく呼ぶな」
「いいじゃん、ね~?雪菜ちゃん」
「は、はい……」
「あ、そうだ」
隼人は悠人に渡すライターを持ってきたことを思い出した。
「これ、やるよ。ライター」
ライターを詰め込んだ缶を渡すと、悠人はわざとらしく重そうに受け取った。
「何これ、エロビデオのお礼?」
「なっ!お前っ!……ちょっと来い」
コイツ!わざとそんなこと!
「冗談だよ~。雪菜ちゃん、この人そんな物とは無縁の人だから、安心してね」
「アンタたち、まだエロビデオの貸し借りなんてしてるの?そんなの学生の間だけかと思ってたわ」
「貸し借りじゃないよ、あげたの」
「……もう、やめてくれ」
母親と悠人の息の合った会話に、ペースにかき乱される。ため息をついて雪菜をチラッと見ると、話題を理解するのに精一杯な様子で、キョトキョトと二人の顔を交互に見ていた。
「兄貴、煙草やめたの?」
「ああ?まあね」
「もしかして、雪菜ちゃんのため~?」
悠人がそう聞くと、悠人と母親はニヤニヤと隼人を見た。