嫌われ者に恋をしました

「うん、……まあ」

「もしかして……」

「出来ちゃったとか!」
「出来ちゃったとか~?」

 また、二人して声を揃えて言ってきた。

「違うよ!」

「あら、違うの?」

「へえ~、じゃあ純粋に雪菜ちゃんのためなんだ?」

「ずいぶんとお優しいじゃない?」

「兄貴は雪菜ちゃんのことがかわいくてかわいくて、しょうがないんだね~」

「本当にかわいいわねえ」

 二人ともニヤニヤしながら隼人を見るから、隼人はとにかく視線を合わせないよう、目をそらし続けた。

 雪菜は二人のペースについていけないらしくひたすらおろおろしている。

「そんな、滅相もありません……」

「こういう控え目なところもいいわ。私の若い頃にソックリ!」

「んなわけねーだろ!」

 聞き捨てならなくて、隼人はついつっこんでしまった。

「失礼ね、本当よ!ねえ、お父さん!」

「あ?ああ」

 隼人の父親はこちらを見もせずに、気のない返事をした。

「じゃあ雪菜ちゃんは将来、母ちゃんみたいになるわけだね~」

「そういうこと!」

「ならねーよ!」

 そんなくだらない話をしているうちに、寿司屋の出前がやって来た。隼人の母親は本当に特上寿司を頼んでいた。

「隼人、当然食べていくわよね?」

「俺に断る権利なんてないだろ」

「何言ってるの!特上よ!特上!権利もなにも食べないバカがどこにいるのよ!」
< 263 / 409 >

この作品をシェア

pagetop