嫌われ者に恋をしました
「うん、……まあ」
「もしかして……」
「出来ちゃったとか!」
「出来ちゃったとか~?」
また、二人して声を揃えて言ってきた。
「違うよ!」
「あら、違うの?」
「へえ~、じゃあ純粋に雪菜ちゃんのためなんだ?」
「ずいぶんとお優しいじゃない?」
「兄貴は雪菜ちゃんのことがかわいくてかわいくて、しょうがないんだね~」
「本当にかわいいわねえ」
二人ともニヤニヤしながら隼人を見るから、隼人はとにかく視線を合わせないよう、目をそらし続けた。
雪菜は二人のペースについていけないらしくひたすらおろおろしている。
「そんな、滅相もありません……」
「こういう控え目なところもいいわ。私の若い頃にソックリ!」
「んなわけねーだろ!」
聞き捨てならなくて、隼人はついつっこんでしまった。
「失礼ね、本当よ!ねえ、お父さん!」
「あ?ああ」
隼人の父親はこちらを見もせずに、気のない返事をした。
「じゃあ雪菜ちゃんは将来、母ちゃんみたいになるわけだね~」
「そういうこと!」
「ならねーよ!」
そんなくだらない話をしているうちに、寿司屋の出前がやって来た。隼人の母親は本当に特上寿司を頼んでいた。
「隼人、当然食べていくわよね?」
「俺に断る権利なんてないだろ」
「何言ってるの!特上よ!特上!権利もなにも食べないバカがどこにいるのよ!」