嫌われ者に恋をしました
母親がダイニングテーブルの真ん中にドンと大きな寿司桶を置くと、雪菜は立ち上がって遠慮がちに言った。
「あの……、何かお手伝いすることはありませんか?」
「あら!そんな、いいわよ!小皿出すだけだから」
「でも……」
「いいのいいの!今日はお客さまだから、ね」
「そうそう、いいから座ってなよ~」
「は、はい……」
雪菜が座ると母親は小皿と箸を持ってきて、空気を読んだ父親も静かに席についた。
「隼人の父です」
父親は雪菜にそう言うと、さりげなく握手を求めた。雪菜は不思議そうにしたものの素直に握手に応じた。
「あ、親父ズルい!雪菜ちゃん、俺も握手~」
「え?」
「あっ、勝手に触んな!お前はダメ!」
「え~?兄貴、独占欲強すぎるんじゃないの?そんなことだと、また捨てられるよ~」
「別にそれが原因だったわけじゃない!」
「そうよ、金の力に負けたのよ!」
「ああもう!うるさいな!いい加減、その話はやめてくれよ」
「はいはい」
「へいへい」
その話をやめるつもりなんて全くない、二人のバカにした態度に隼人はため息をついた。