嫌われ者に恋をしました
「雪菜さん、遠慮しないでどんどん食べてね。あなたのために頼んだんだから!」
「そ、そんな。恐縮です。……いただきます」
雪菜は本当に恐縮して小さくなっていた。
「そんなこと言ったら、ますます遠慮しちゃうだろ」
「へっへっへ」
「へっへっへ~」
また二人してニヤニヤして、今度は何だよ。
「やっぱりかばうのね!」
「雪菜ちゃんにぞっこんだね~?」
「ああもう!うるさい!」
一通りゲラゲラ笑うと、二人は寿司に夢中になったのか、急に静かになった。
ふと見ると、ウニや大トロばかりに手を出す母親の横で、父親は卵焼きやカッパ巻きを食べている。似た者夫婦ではないが、これはこれでお似合いなのかもしれない。
横で雪菜も少しずつ食べていた。少しは緊張がほぐれただろうか。
「そう言えばさ」
隼人はお好み焼きを作った時のことを思い出した。
「うちのお好み焼きって天かすと、あと何入れてたっけ?」
「……天かすなんて入れないわよ」
母親はモグモグと口を動かしながら、憮然とした顔をした。
「え?入れてたじゃん」
「そんな、カス入れるみたいな言い方しないでちょうだい!」
「じゃあ何だよ」
「揚げ玉!」
「そうだよ、揚げ玉だよ~」
「一緒だろ、そんなの」
いちいち面白がって揚げ足を取るところとか全然変わらない。本当に腹立たしい。