嫌われ者に恋をしました
それにもう、持ってきた服が底を尽きてしまった。
「今日は、帰ります」
「……やっぱり一人で過ごしたい?」
隼人が寂しげに言ったから雪菜は急いで首を振った。
「違うんです。もう、服がないから……」
「じゃあ、取りに帰ろう」
隼人は急にイキイキして言った。この感じ、絶対に家に返す気はないんだとわかった。
「……」
「嫌?」
「嫌ではありません」
「でも、積極的に一緒にいたいわけではなさそうだね」
「そうじゃなくて……。隼人さんだって予定とかやることとかあるんじゃないのかなって思って。休み中ずっと私と一緒にいていいのかなと思ったんです」
「じゃあ、聞き方を変えようか。雪菜は俺と一緒にいたい?」
そんな聞き方ズルい。そんな風に聞かれたら一緒にいたいに決まっている。
「……一緒にいたいです」
「じゃあ、一緒にいよ」
そう言って隼人は雪菜に擦り寄ってきた。こんな風にゴロゴロ甘える猫みたいなことをされるとすぐに壁が崩れてしまう。
「……はい」
雪菜の返事を聞くと、隼人は少し考えてから口を開いた。
「今日は雪菜の家に泊まってもいい?」
「え!」
そんなことを言われるとは思わなかった。この間家に来た時、隼人はとても居心地が悪そうにしていたし、すぐに自分の家に連れて帰りたがった。だから雪菜は、隼人があの家を好きではないと思っていた。
「ダメ?」
「いえ、構いませんが……狭いですよ」
「いいよ、別に」
雪菜にはどうして隼人がそんなことを言い出したのか、見当もつかなかった。