嫌われ者に恋をしました
それからいろいろな方角を見て回った。ドライブで通った工場地帯を見つけたり、自分の家や、さっき行った隼人の実家の場所がどの辺かを探したりした。
そのうち空は深く濃い紺色に包まれて、景色はあっという間に夜景に変わっていった。
街が光り輝くようになったら、車の流れがはっきり見えて、どこまでも街の灯りが広がっているように見えた。薄く広がる広大な街を目の当たりにしたら、自分はまるで小さな砂粒のように思えた。
でも、自分がちっぽけな砂粒に思えても、不思議といつも感じる深海に引きずり込まれるような孤独や恐怖は感じなかった。
あの小さな灯り一つ一つにそれぞれの暮らしがあって、いろんな家族がある。うちみたいな家族もあれば、隼人さんの家族みたいな家族もある。人がそれぞれ違うように家族も違う。
今日、隼人さんの家族を知ったように、いろいろなことを知るのは大事なのかもしれない。私の世界はきっと狭い。
でも、いろいろなことを知ることで、自分の世界を広げることができるのかもしれない。世界が広がって視野が広くなったら、臆病にならずにいられるのかもしれない。
幸せと感じることに不安をおぼえたりしなくなるのかもしれない。
隼人さんが一緒にいてくれたら、怖がらずに前に出て、いろんなものに興味を持って、いろんなことを知りたいと思える。隼人さんと一緒にいろんなものを見て、たくさんのことを知りたい。
雪菜は隼人を見上げて手を握った。
「これからも、いろんな所に連れて行ってくれますか?」
「いいよ。いろいろ行ってみたくなった?」
隼人に微笑まれて雪菜はうなずくと、隼人の腕にそっと寄り添った。