嫌われ者に恋をしました
「少しはスッキリした?」
「……はい、そうですね。一区切りついたような気がします」
きっと私一人では何もできなかった。隼人さんがいてくれたから、隼人さんが支えてくれたから、お母さんと向き合うことができたんだ。
「ありがとう、隼人さん」
「うん……、良かったね」
隼人はにっこり笑って雪菜の手を握った。握った隼人の手は驚くほど冷たかった。カバンの中の手袋、出してあげなきゃ……。
「行きましょうか?」
「もういいの?」
「はい。もう大丈夫です」
クルッと背を向けて、手を繋いだまま墓を後にして歩き始めた。振り返っても振り返らなくても、どっちでも平気。もうこだわりはない。そう思えた。
お寺に寄ってお墓の掃除のお礼を言ったら、遠いなんて言い訳しないできちんと来なさい!と怒られた。一回忌も三回忌も七回忌も何もしなかったから、それもついでに怒られた。
「怒られちゃいましたね……」
「まあ、何もしてなかったんだから、仕方ないんじゃない。ねえねえ、次は雪菜が住んでた所に行こうよ!」
怒られたことなど全く気にとめず、雪菜が出してあげた手袋をはめて、隼人はとてもはしゃいでいるように見えた。
「いいですけど、面白いものはないですよ」
「それでもいいよ。見てみたいんだ」
雪菜にも見てみたい気持ちはあった。
仙台に着いたら変わってしまったものばかりに目が行ってしまったが、よく見るとほとんど変わっていなくて、懐かしく歯がゆい不思議な気持ちになった。
どんな風になってるのかな。変わっていないのかな。
雪菜が住んでいたマンションは、仙台駅から歩いて行ける距離の所にある。だから、途中の景色も見たいからと隼人にお願いして、仙台駅から歩いて向かうことにした。