嫌われ者に恋をしました
「あの、えっと、恋人です」
「そう!それは良かった!君、ものすごい真面目だったからちょっと心配だったんだけどね。彼氏がいるなら大丈夫かな」
それは……どういう意味での心配だろうか。
「彼女はその当時、何を読んでたんですか?」
急に隼人が会話に入ってきた。
「参考書だよ!参考書!」
「……漫画とかじゃなくて?」
隼人は疑うように目を細めた。
「そうなんだよ!だから心配でね。女子中学生なんて普通少女漫画とか雑誌でしょ?それなのに『参考書読ませてください』なんて、ちょっとどうかしてると思ってたよ」
「それはどうかしてますね。重症です」
「そうだよねえ?良かった良かった。彼氏は普通の人で」
え……おじさん?そんな風に思っていたの?なんか、ずいぶんな言われよう。なんだか涙も引いてきた。
だって!参考書買ってもらえなかったんだもん!これじゃ、私すごくイタイ子みたいじゃない!……それとも私ってもしかして、イタイ子だった?
「お母さんはお元気?」
「いえ……、母は亡くなりました」
「……そうだったの、それはそれは」
おじさんは少し黙って雪菜をじっと見てからにこっとした。
「で?今日は突然、どうしたの?」
「久しぶりに近くまで来たので、寄ってみたらおじさんが見えたので入ってしまいました。それに、あの頃のお礼も言いたくて。……本当にありがとうございました」
雪菜はもう一度頭を下げた。