嫌われ者に恋をしました
「じゃあさ、昼飯食べたら行ってみない?」
「母の働いていたお店ですか?……そんな所、どうして行ってみたいんですか?」
「もしかしたら、雪菜のお父さんのことを知ってる人がいるんじゃないかと思ってさ」
なるほど。そんなこと考えてもみなかった。でも、それはちょっと怖いかも。それにきっとわからないと思う。
「たぶんわからないと思いますよ。お母さん、勤め先を転々としていたので。それに、私も最後の勤め先しか知りませんし」
「そうなの?それでも行ってみようよ」
どうしよう……。でも、この際行けるところは全部行ってみようかな。
仙台に来て、過去に思い切って踏み込んでみたら、たくさんのモヤモヤが晴れた。もう、こうなったら、過去をいろいろと洗い出してみてもいいのかもしれない。
雪菜がうなずくと、隼人はにこっと笑ってまたはしゃいだ表情をした。
「じゃあ、牛タン食べに行こう!」
「隼人さん、ずっと楽しみにしてましたよね、牛タン。……私、住んでた頃は牛タンなんて、ほとんど食べませんでした」
「地元ってそんなもんじゃない?俺だって横浜に住んでた時はランドマークの展望室なんて、行ったことしなかったし」
そう言われて、雪菜はランドマークに連れて行ってもらった夏の日を思い出した。
あの日の私のように、隼人さんも新鮮な目で私の故郷を見ている。私を知ろうとしてくれている。そう思ったら胸が温かくなった。
「雪菜は昔から真面目だったんだね」
「……あの本屋さんの話ですね?重症だなんてひどいです!」
雪菜は少しふくれた顔をして見せた。