【完】恋愛条件
何で私を見て蓮の名前を出すのよ!
こっちは必死に忘れたいのに…っ
今にも頬に流れそうな涙をグッとこらえた。
浅田くんと別れて携帯を開くと待ち合わせの時刻は迫っていた。
ちょうど駅前につくと人混みの中からすぐに竜ちゃんの姿を見つけた。
『竜ちゃん!』
名前を呼んで手を振ると、私に気づいた竜ちゃんは人混みをかきわけて来てくれた。
『ごめんね!待った?』
「今来たところだよ」
両手を合わせて謝ると竜ちゃんは嫌な顔をせずに笑顔で答えた。
きっと気を使って言った言葉なんだろう…
本当に優しい所は小さい頃から変わらないなー…
「んじゃ、遊園地に行くか!」
『!!』
竜ちゃんはさり気なく私の手を握って歩き始めた。
私よりも大きい竜ちゃんの手を意識して、心臓の音がうるさくって顔が熱くなる…
何も言わない竜ちゃんに私は隣に寄り添って歩いた。