【完】恋愛条件
通り過ぎたと思うと体が動かない。
自分の手元を見れば手を掴まれて先に進めなかった。
「…っ、やっと見つけた…」
『…れ…ん』
観覧車のうっすら照らす明かりで顔が見えた。
息切れをして額からは汗を流してて、蓮はストンとその場に座り込んだ。
「あー、疲れた」
慌てて私はしゃがみこんで、鞄からハンカチを取り出して額の汗を拭いてあげた。
『だ、大丈夫?てか、何で…』
「黙って」
蓮の腕が背中に回って、前に引っ張られて私は足がバランスを崩して蓮の膝の上に座り込む形になった。
「…」
『蓮…っ』
黙ってギュッと私を抱きしめる。
何かいつもの蓮じゃなくって戸惑って体が固まる。