憂鬱なソネット
「………あやめさん、もしかして、太った?」




どストレート。


寅吉は嘘をつけない男で、しかもデリカシーが皆無なのだ。




あたしはこめかみに青筋が立つのを感じながら、「あんたのせいよ!」と返した。




「あんたが突然消えて、帰ってくるかも分からなくて、この二週間ずっとストレスで暴飲暴食してたの!」




「え………っ、そうだったの!?」




寅吉が目を丸くした。




なんだかたるんできたなぁとは思ってたけど、サイズを合わせて買ったはずの指輪がきつくなっていたことで、あたしは確信した。


あたしはやけ食いのせいで激太りしていたのだ。



どうりでドレスもきつかったはずだ。




「ごめん………あやめさん。

俺のせいでそんな思いしてたなんて。

俺、ほんとに馬鹿だな………ごめん!




寅吉は悲しげな顔であたしに謝り、さらには土下座をした。



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