憂鬱なソネット
「えっ、そんな、公衆の面前で………キ、キスだなんて!」




と顔を赤くする寅吉の胸ぐらを掴み、




「そういうのいいから、早くしなさいよ!」




とあたしは凄んだ。



つま先がもう限界なのよ!




もはやムードもへったくれもない。


いや、最初からそんなのなかったけど。



なんせ、始まりは弟とここに並んで立っていたのだ。




ちらりと目を向けると、巧はタキシード姿で居心地の悪そうな顔をして、お父さんの隣に座っていた。




ありがとね、巧。


こんなお姉ちゃんのために、そんな格好までして付き合ってくれて。



今さらながらに感謝の気持ちが湧いてくる。



お父さんもお母さんも、心配ばっかりかけてごめん。



寅吉のお父さん、お母さん、こんな粗雑な嫁でごめんなさい。


これからよろしくお願いします。



こんなハチャメチャな結婚式なのに、愛想を尽かさずに見守ってくれた親戚のみなさん、ありがとうございます。




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