憂鬱なソネット




「はぁ、疲れた………」




式が終わった後、控え室に戻ったあたしは、ハイヒールを脱ぎ捨ててソファに身を埋めた。



寅吉がいそいそと隣に腰を下ろす。




「お疲れさま、あやめさん。

なんか、色々ごめんね………」



「ほんとにね。

まったく、寅吉に愛想つかさないなんて、あたしってよくできた女よ」



「うん、最高のお嫁さんです」




嫌味を言ったつもりだったのに、屈託なくそんなことを言い返されてしまって、あたしは逆に恥ずかしくなった。




「そりゃ、どうも………」




そこに、控え室のドアが開いて、さっきの神父さんが顔を出した。




「あっ、神父さま、今日はありがとうございました」



「いえいえ、こちらこそ、楽しませていただきましたよ」




神父さんが人の好さそうな笑顔で、あたしと寅吉を交互に見た。




「長年結婚式の仕事をしておりますが……今日のような式は初めてでした」



「は、はぁ………でしょうね」




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