憂鬱なソネット
「でも、冗談抜きでさ。

姉ちゃん泣かせたら、俺、連れ戻しに行きますからね!」




巧が急にそんなことを言い出したので、うちの家族全員がばっと巧に視線を集めた。



巧は少し照れ臭そうに頬を掻いている。




「巧………あんた、いつの間に、そんなお姉ちゃん思いになったわけ?」



「うるせーな。こんなの一生に一回しか言わねえからな!」



「はぁ………びっくりした。でも、ありがとう」




巧は小さく頷き、寅吉を見つめる。




「こんな姉ですけど、俺にとってはたった一人の姉ちゃんなんで。

大事にしてやってください。

急に失踪するとか、なしですよ?」




「うん。分かりました。大事にします」




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