この思いを迷宮に捧ぐ



今日、私が晁登の元へ走るなど、坡留でさえ予想できなかったはずだ。

それはつまり、私ではなく晁登が狙われたということを意味する。



千砂は、何度考えてもそうなる結論を、もう恨めしく思う気力も失った。

太古より、王位や覇権を争って、人々は対立者に毒を盛ったものだ。この土の国でも例外ではなく、千砂でも幼少時から少しずつ毒物に慣れる訓練を施されている。



だから、今回の件は、千砂が黄生と王位を争ったときとは違う。

千砂も黄生も、体の準備が違うし、何より、お互いを支持する人たちにある程度は守られていたのだから。


晁登と彩菜は、何の防具もなく、戦場の前線に放り込まれたようなものだ。

まして彼らは、私や反対派と競って、望んだ何かを得られる訳ではない。反対派の人間は、私への揺さぶりの一つとして、二人を攻撃するだけなのだから。



やはり、私の晁登への気持ちは、どこかで反対派の人間に漏れてしまったのだ。

私を揺さぶるためだけに、晁登と彩菜を死なせるわけにはいかない。

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