この思いを迷宮に捧ぐ
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水の国の国王が、翠の母親を城に入れなかった訳が、今ならわかる。

大切な人ほど、そばにおいてはならない。


城内に敵がいるならば、なおのこと。

だから、王家は長い歴史の中で、政略結婚を繰り返すのだ。生かすと利益をもたらし、殺すと不利益になりすぎる相手を選んで。


もう、私は現実を見るしかなくなった。

私には、恋人の命を守ることさえも難しい。それならば、ただ国の未来のためだけに、男を利用するのだ。

晁登でないなら、誰でも同じ。



頭に不意に浮かんだ思いに、胸が潰れそうになる。

私は、晁登と共に歩む人生を夢見たつもりなどなかった。結婚願望も皆無だったし、晁登も望んでいる様子もなかった。


だけど、結婚をしなければならないなら、やっぱり彼がよかった。


...私も、俳優の親から生まれて、どこかの劇団に所属していれば、彼と結ばれたのだろうか。

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