この思いを迷宮に捧ぐ
「たまには顔見せてやれば?」
「そうね」
「いつ?」
「え?」
「いつ会うの?」
「そのうちよ」

「早くしろよ。あんまり先送りにしないでさ」

千砂よりのんびりしているような印象があったのに、今回の件で翠がそうせっつくのは、やはり母親というものを大切だと考えているからなのだろう。

「ありがとう。あなた、私の母の心配までしているのね」

義母だけではなく、たった一度会っただけの千砂の母親も気にしているなんて、不思議ではあるけれど、千砂は少し温かい気持ちになった。

「普通だろ」

翠は再び地図に顔を向けてしまって、もう表情はわからない。
翠も照れたりするのかしら、と千砂は想像してみる。
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