この思いを迷宮に捧ぐ
「バカじゃない。あなたには、迷惑なことだろうと思っていたのだから。その立場では恋人を持つのも難しいでしょう」

夫婦らしく振る舞うのが心苦しくなってきたのは、いつからだろう。千砂は考えてみるが、はっきりしなかった。

「それはあんたも似たような条件だろ」

「いいえ。この国で、国王は男女を問わず、何人でも配偶者を持つことができるの。 正史には、16人の夫を持つ女王の記録も残ってる。
ただ、今は政情が不安定だから、一概に多ければいいって言われないだけで」

「...なかなか、元はユルい国風なんだな」

「そうなのかしら」

翠が言葉にすると、重い話も軽く聞こえてしまい、千砂はふっと笑った。

「あんたは」
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