この思いを迷宮に捧ぐ

その瞬間、ただの一般論の延長だった問いかけが、千砂の過去を掘り起こしてしまったことに、翠は気がついた。

千砂の今の、無意識に溢れたような一言は、男は嫌いなのといわれた時よりも、よほど強い衝撃を伴い、翠は戸惑った。


「ごめんなさい。こうだったわね?」

本人ばかりは冷静さを取り戻した様子で、そっと首に腕を絡めてくる。

翠が返事を返せないでいるのを誤解したらしく、小さな顎を持ち上げて、彼の頬に遠慮がちに唇を付けた。

「これでいい?」

「...いいはずがない」
「え?」
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