この思いを迷宮に捧ぐ
まあ、誰も怒ってないならいいのかしら。
呆れながらも千砂は、着席するよう二人を促した。
こうして見てみると、二人の母親が対照的で、千砂は思わずまじまじと観察してしまった。
翠の母親は、清楚で控えめ、穏やかな印象だ。挨拶以外はまだ声も発していない。
それに比べて、千砂の母親は、派手で賑やか。席に着くまでに、千砂や翠はもちろん、給仕しているスタッフにも、何かと声をかけている。
自分の住んでいた場所だから、と言えないこともないが、逆の立場だったとしても同じことをしそうで、千砂はため息をついた。