この思いを迷宮に捧ぐ

「そうね、あなたは寝付きがいい上に、寝起きが悪いものね」

安眠が効能のハーブなんかいらないはずだと、千砂も思い出す。



「俺が水の国を立つ日に、たまたま観劇が催されたんだよ」

前置きもなく、唐突に翠がそう言ったから、千砂は面食らう。

「この国から来た劇団のね」

千砂はいよいよ黙り込んだ。

「古典だけど、典型的なラブストーリーで、新鮮味なんかゼロ」
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