この思いを迷宮に捧ぐ
「顔とか全く似てないと思うけど」
確かに、男らしい精悍な顔立ちで、がっしりした体格の晁登は、翠とはずいぶん違う。
かと言って、なぜ目隠しをするのかと、千砂が振りほどこうとしたその時。
「千砂」
どきり。
千砂の肩がかすかに震えた。
低く鼓膜を震わせる、艶やかな声。
「声は真似できる気がした」
地声でそう囁く翠の言葉も耳に入らないくらい、千砂の頭の中は晁登でいっぱいになっていた。