この思いを迷宮に捧ぐ
「すげー。綺麗なとこだ」
怖がりもせず、疑問もぶつけず、ただただ壁から漏れるわずかな光に感嘆している翠が、とても彼らしくて、千砂は思わず微笑んだ。
宝石は、売れるのに。お金になるのに。
やはりこういうところだけは不思議に無垢な印象の人だ。
「何、髪切ったの」
体を起こした千砂に、翠は驚いた。
腰まであった長い髪が、耳の下で消えていたから。
そう言えば、短い髪に憧れると言っていたっけと思い出したら、微笑ましい気持ちになった。