この思いを迷宮に捧ぐ

何をするのだと抗議しようと口を開くと、素早く唇にもキスされた。

「顔もよく見える」

顔。
父譲りの顔。

そして、姉と瓜二つの。

姉に似ているから、翠がこうして傍にいるのだということを再認識させられる。いくら翠が美砂を思ったって、千砂が美砂になることはできないのだけれど。


「私は姉とは違うわよ?」


そう口にして初めて、なぜ髪を切ったのか、心の底に隠れていた別の理由を思い知る。
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