この思いを迷宮に捧ぐ

「実子ができる可能性があるのに?」

翠の怪訝な表情に、千砂は二人の間に隔たりを感じた。


「...私に、子どもが?」

言葉にしてみても、現実的でない、架空の話にしか聞こえない。

「出産適齢期だし、一応は結婚もしていて、健康。子どもを望んでもいい条件は整ってると思うけど」

冷静に言われてみればそうなのだと、千砂は理解する。だけど、一番大切なものが欠けていることも思い知ることになる。

「それって、あなたとわたしの子どもってこと?」
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