この思いを迷宮に捧ぐ
「兄貴はあれでもお前を大事にしてるんじゃないか。本人にはあまり伝わってないみたいだが」
伝わるも何も、大事にする気さえなく、行き当たりばったりに行動しているとしか思えない。
初夜に職務だと言って抱こうとしたし、千砂の抵抗であっさりやめただけのことだ。
一度だけ、髪を切った高揚感のせいで、あんなことにはなってしまったけれど...。
大体、私たちの結婚自体がお互いの契約の上で成り立っているに過ぎないのだから。
千砂は喉まで色んな言葉がせり上がってきたものの、口に出す直前で、青英が翠の弟であることを思い出して我慢した。
「はあ…」