この思いを迷宮に捧ぐ

「あんた、ガキ好きなの?」

「…『ガキ』じゃないでしょう?姉の子なんだから『甥』と言って」

「いや、甥に限らず、って意味だろうが」
「子どもは好きじゃないけど、どうして?」
「なんだ。もし、ガキが好きなら産ませてやろうかと思って」
「……」
「…な?」

今はその話はデリケートな問題のはずだ。

返事をしないまま席を立って、千砂は坡留に「不敬罪。いますぐ牢に入れておいて」と冷たく告げた。

翠はさっと千砂から距離を置き、「ゴメンナサーイ」と軽い調子で謝った。

容赦なく坡留に腕をひねられた翠が、「牢なんて冗談に決まってんだろ!なあ、千砂」と、慌てて言うので、千砂は「本気」とばっさり切り捨てて部屋を出た。
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