この思いを迷宮に捧ぐ
暗闇で、ごくりと翠が酒を飲む。涼しい顔で。
「偽装結婚だ」
噎せることもなくすべらかに言葉を紡ぐ。
「親父は、信頼できる貴族と母を結婚させた。鬼ババの目を欺いて、母を守るためにね」
その保護の対象には多分、お母様だけでなく、息子の翠も含まれるはずだ。
「余程あなたたちが大切だったのね...」
国王の深い愛情も感じるけれど、母子の苦労もいかほどだっただろう。
「まあ、それがこれまでで一番の効果を上げたことは確かだな。母が諦めて嫁いだように見えたらしい」