この思いを迷宮に捧ぐ
見渡す限りの真っ白な雪原。雪解け水が、伏流して、この美味しいお酒になるのかもしれないな...。
「おい、無意識に飲むな」
翠にグラスを奪われたときにはもう遅かった。
「何だか癖になる味なんだもの」
翠はぎょっとした。
千砂のいつもの切り捨てるようなきっぱりした口調が、とろりと崩れ始めている。
「...前に、弱いんだから人前で飲むなって言っただろ?」
翠は、千砂の額にかかる髪をかき分けて顔を覗きこんだ。
だめだ、目付きがとろんとし始めている。