この思いを迷宮に捧ぐ
「いや、いつもは化粧でキツそうに見せてるんじゃないの?」
時々本質を突いてくる翠に、千砂はため息をついた。
「そう言えば、即位するときに、坡留や女官たちとイメージ作りで化粧の仕方を変えたわ」
まだそう前のことでもないのに、不鮮明で、ひどく幼い日々のようだ。
「清廉で厳しく、不正を許さない王に見えるように」
成功したのかどうかはわからないが、冷たく見えると言われているようだ。
「じゃあ、もう好きな化粧にすればいいんじゃない?」
「え?」
「この頃、不正は減ったでしょ」