この思いを迷宮に捧ぐ

そうなのだ。

翠の言うとおり、国民のことを思って罰則を見直したことが、上下を問わず役人たちの不正が減るという思わぬ成果を上げた。

「もうそれほどがんばって、怖い女王のふりしなくていいだろ」

ふっと笑って、強い酒を何でもない様子でゴクリと飲み下す翠の喉を見て、なぜか千砂はドキリとした。

「好きな化粧、ね」

しないのが楽で一番好きかもしれない、と言いかけて、それを思わず飲み込んだ。
さっきの翠の「かわいいな」の発言を意識したように聞こえそうで。

翠には、千砂が少し考え込んでいるように見えた。
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