この思いを迷宮に捧ぐ
愛情の深そうな視線で眠る千砂を見つめ続けていた典医が、そこでふと、翠を見上げた。
「せめてプライベートでは、たっぷり愛情をかけてやって、安心できる環境で休ませてやってください」
もう翠に言える言葉はない。
さっきの出来事を振り返れば、自分はむしろ、公的な場とは異なるストレスを与えていたことになる。
典医と入れ替わりに部屋を訪れた坡留は、何かを察しているようで、案の定、敵意むき出しの形相だった。
「殿下、しばらく郊外の視察に行かれてはいかがです?」